住まい・不動産

「空き家をリノベして賃貸に」が経済合理的でない理由 「月4万とか5万円程度の賃料では、全く投資に見合わない」

遺言を準備してもらい機械的に売却する方法も

 ただしこのような考え方はあくまで経済合理性のみを優先した場合であり、現実には「相続でもめてしまい処分できない」「思い出が詰まっている」「仏壇がある」など様々な理由で、なんとなく処分が先延ばしになってしまうというケースが現在も、そしてこれからも、かなりの割合で発生せざるを得ないだろうと思います。

 こうした事態を防ぐには例えば、親の生前に「遺言」を準備してもらい、いざという時にはそれに従って機械的に空き家をはじめとする財産の処分を進められるようにしておくのがベターです。ただ子供の側からそうした提案をするのはいかにもやりにくいというか気が引けることもあって、なかなか難しいところです。

 相続放棄といった手もありますが、現行法では、不動産だけを相続放棄することはできず、預金など財産全てを放棄するか、全て相続するかのどちらかですので、よく考えて選択をしましょう。

※長嶋修・著『グレートリセット後の世界をどう生きるか』(小学館新書)より、一部抜粋して再構成

【プロフィール】
長嶋修(ながしま・おさむ)/1967年東京都生まれ。不動産コンサルタント。さくら事務所会長。NPO法人日本ホームインスペクターズ協会初代理事長。国交省・経産省の様々な委員を歴任。YouTubeチャンネル『長嶋修の日本と世界の未来を読む』では不動産だけではなく、国内外の政治、経済、金融、歴史などについても解説。広範な知識と深い洞察に基づいた的確な見立てが注目を集めている。マスコミ掲載やテレビ出演、講演等実績多数。著作に『不動産格差』(日経新聞出版)、『バブル再び~日経平均株価が4万円を超える日』(小学館新書)など。最新刊は『グレートリセット後の世界をどう生きるか~激変する金融、不動産市場』(小学館新書)。

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