ZOZO（3092）：市場平均予想（単位：百万円）
企業概要
ZOZO（3092）は、日本最大級のアパレルECモール「ZOZOTOWN」を運営する企業。「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」を企業理念に、「ZOZOTOWN」をはじめ、ファッションメディアファッションコーディネートアプリ「WEAR」、古着買取サービス「ZOZOUSED」などを運営しています。
同社は1998年設立の輸入CD・レコードの通信販売を行う「有限会社スタート・トゥデイ」を前身とします。創業者の前澤友作氏がバンド活動の傍らで始めた会社でした。アパレル商材がメインとなったのは2000年で、アパレルのオンラインショッピングサイトを開設。2004年に現在の「ZOZOTOWN」を開設しました。2008年3月期の決算説明資料を見ると、ブランド数は680、出店数は3100店でユーザー数は81万人、売上高は86億円でした。
商品取扱高、営業利益ともに過去最高を更新
国内最大級のファッションECサイトとして成長を遂げ、今や毎日平均2600点以上の新着商品が掲載され、常時102万点以上が販売されるメガECモールとなりました（数値はいずれも2024年3月期）。
いまや商品取扱高は5744億円、ZOZOTOWNの取扱ブランド数は9021ブランド、「ZOZOTOWN」に出店するショップ数は1595（うち買取・製造販売29）。年間購入者数は約1168万人（うちアクティブユーザーは1079万人）まで増加し、売上高は1970億円と20倍以上に拡大（2024年3月期）。時価総額は1兆円を超え、2024年4月1日からは日経平均株価の構成銘柄の一つとなっています。
中心となる事業は、受託販売をメインとする「ZOZOTOWN事業」で、全体売上の73％を構成します（2024年3月期）。ZOZOTOWN事業は、受託販売を中心に（全体の62％）、買取・製造販売（2％）、USED販売（9％）で構成されています。これに、LINEヤフーコマース事業（9％）、BtoB事業（1％）、広告事業（5％）、その他（12％）が続きます。
高利益率の手数料ビジネス：日経225 No.1の資本効率
驚異的なスピードで成長してきたわけですが、この成長は「手数料ビジネス」によってもたらされています。
ZOZOTOWNの受託販売事業は、ZOZOTOWNで決済された商品代金のうち、出店プランドから同社に対して支払われる受託販売手数料が売上高となります。「各ショップの商品取扱高」×「受託手数料率」が同社の売上高となります。2024年3月期の商品取扱高5,743億円とZOZOTOWN事業の売上高1970億円で単純に計算すると、手数料率は25％となります。
手数料率25％は、楽天市場の3.5～7％（これに約2万円～の月額利用料が必要）やアマゾンの8～15％と比べるととても高いです（参考：マイナビ）。
それでも1500店以上の出店があるのは、ZOZOなら物流業務を一貫して委託できるからと考えられます。
ZOZOTOWNの特徴は、ECサイトの運営に必要なプロセスを一括して受注していることです。サイト掲載用の写真撮影から採寸に原稿作成、集客、出品、梱包と発送、さらにサポートまでを一貫提供しています。出店ブランドは、商品をZOZOの物流拠点に送るだけで、メインの業務に集中でき、物流業務に係る設備投資・人件費・在庫保管料などの負担なしでEC運営を行うことができます。
さらに、クラウドシステムの「Fulfillment by ZOZO」では、自社EC、店舗、ZOZOTOWNの各販売チャネルで在庫情報を連携をすることができます。自社とZOZOTOWNの在庫を一元管理することで商品欠品による販売機会の損失リスクを最小化し、運用効率を上げられるといったメリットが得られます。
【プロフィール】戸松信博（とまつ・のぶひろ）：1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。
