足元で中国株が急騰している。ハンセン指数は9月11日に付けた終値17108.71ポイントを底値として、12営業日後の9月30日には21133.68ポイントで引けており、この間の上昇率は23.5%に達している。同じ期間の上昇率を比べると、上海総合指数は22.6%でハンセン指数とほぼ同程度だが、日経平均は6.5%、NYダウは3.6%に留まっている。
日米香港いずれも、欧米機関投資家の売買動向に左右されやすい市場であり、3指数におけるこの差は、欧米機関投資家の中国に対する見通しを劇的に変える出来事が起きたことを示唆していると言えよう。
中国株が急騰した最大の理由は政策面で大きなサプライズがあったからだ。
中国国務院新聞弁公室は24日、金融監督3部門トップによる合同記者会見を開いた。そこで今後の金融政策の方針として、預金準備率の引き下げ、オペレーションを通じた低金利誘導などによる資金流動性の供給、不動産不況への金融面からのサポート、資本市場改革の加速などが示された。
決して新たな政策を打ち出したというわけではないが、金融監督管理部門が揃って記者会見を開き、政策の強化を宣言したことがサプライズとなった。
これはあくまで国務院レベルの政策情報だが、26日にはより上位の共産党中央委員会から経済政策に関する情報発信があった。
習近平国家主席が主催する中央政治局会議が26日午前開催された。中央政府ホームページでは同日13時8分にはその内容を伝えており、当面の経済情勢の分析、今後の経済運営方針について記している。中央政治局会議自体は毎月行われるのだが、経済問題については通常、四半期に一度(4、7、10、12月)のペースで議題に上がることになっている。7月の会議では上期の分析、下期の経済運営方針が示されたが、それから2か月しか経過していないこの段階で改めて議論されたということが大きなサプライズとなった。
会議では“現在の経済情勢について客観的に冷静に分析し、困難な部分について目をそらしてはならない。財政・金融政策における景気変動サイクルを打ち消す調整力を更に強化しなければならない。必要な財政支出を保証し、基礎となる三保(医療、教育、住宅、社会保障といった民生の充実、経済の安定、経済の発展を保つこと)をしっかりと実施しなければならない”と指摘している。