東大の推薦入試では学校の成績も求められるが、山形県の最難関の山形東高校において、野口さんの評定平均値は非常に高かった。東大の推薦では共通テストで8割以上の得点が必要で、それもゆうにクリアしている。本人は「一般選抜では二次試験が通らなかったかもしれない」というが、浪人して1年間、駿台や河合塾に通えば確実に合格する学力水準と推測される。昔からいる地方の難関高校にいる文武両道の生徒であったわけだ。
そういった生徒が部活を完走しながら大学受験を目指す場合、一般選抜での東大合格が難しくとも、推薦入試で合格するケースもあるだろう。推薦入試は、そういった生徒をすくい上げるものになっているようにも見える。
今回は山形東高校出身で推薦入試に合格し、東大に通っている学生を取材して紹介した。次回は「地方の学生をどう大学に呼びこむか」という点について、東京の難関私立大学を取材し、考察する。
【プロフィール】
杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ)/ノンフィクションライター。2005年から取材と執筆活動を開始。『女子校力』(PHP新書)がロングセラーに。『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)も話題に。『中学受験ナビ』(マイナビ)、『ダイヤモンド教育ラボ』(ダイヤモンド社)で連載をし、『週刊東洋経済』『週刊ダイヤモンド』で記事を書いている。【Xアカウント】@sugiyu170