二段階移住で少しずつ地域に慣れる
移住に対する適性も見極めた方がいいという。
「以前、“都会の人間関係に疲れた。誰ともかかわりたくないから移住したい”という相談者がいらっしゃいましたが、こういうかたは向いていません。地方では、地域の祭り、草むしりの当番など、都会より人間関係が濃密。地元の風習を受け入れられる柔軟性やコミュニケーション能力がなければ、生活していけません」
特に50代以降は価値観が固定化し、柔軟な考え方がしづらくなる。これまでうまくやれていたことでも、新たな環境や人間関係の下では思うようにいかないことも。慣れるまでに相当苦労することを覚悟しなければならない。いまの生活から逃げるため、などと安易に決めるのは危険なのだ。
移住先に高い理想を持つのも注意が必要だ。
「都会に住む人が田舎暮らしに憧れて、いきなり山深い過疎地域へ移住し、失敗するケースも多い。そういった失敗がないよう“二段階移住”をすすめている自治体もあります。たとえば高知県。まずは高知市内など都市部に移住してもらい、気に入った地域が見つかれば県内で再移住を検討してもらいます。この方が最初から田舎暮らしを始めるより、定着できると思います」
新生活は少しずつ慣らしていくのが理想的だ。
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