石破茂・自民党総裁が誕生し、株式市場は大きく動揺した。その要因の一つが、石破総裁が「金融所得課税の強化」について発言していたことだ。では、金融所得課税の強化とはどのようなものなのか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第112回は、「金融所得課税」について。
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自民党総裁選で、石破茂氏が勝利したことにより、株式市場は大きく動揺しました。総裁候補の中で、もっともマーケットには逆風となる人物と危惧されていたからです。その理由はふたつあります。ひとつは、石破氏が、日銀の利上げに対して肯定的であること、もうひとつは、金融所得課税の強化について発言していたからです。
金融所得課税は一律課税
金融所得課税については、岸田文雄氏が総理大臣になったときも話題になりました。これは、投資信託、株式、預金などの金融商品から得た所得にかかる税金です。現在の税率は、すべての国民に対して一律20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)ですが、これに関しては不公平だという声が上がっており、それを是正するために強化するというのが石破氏の意向です。
一律20.315%の税率がなぜ不公平にあたるのか? むしろ平等に感じます。これについては、日本の所得税が、所得が高いほど税率が高くなる累進課税であることによります。現行の所得税は、5~45%で、課税所得金額が4000万円以上になると最高税率の45%になります。住民税の10%を加えると55%になるため、所得の半分以上を税金で支払わなければいけません。