急落で8000万円分の買い
実際、今回の「石破ショック」を受けて、株式投資で億単位の資産を築く“億り人”たちはすでに仕込みに動いている。70年近い投資歴を持ち、「資産20億円の88歳現役トレーダー」として知られる“シゲルさん”こと藤本茂氏はその一人だ。
「『谷深ければ山高し』という相場格言があるように、大きく下がったほうがその後の大きな上昇が期待できる。石破さんが総理になったからと悲観するばかりではダメ。“ため息が出たら株価が上がる”と言うように、みんなが悲観している時ほど、増収増益、増配が続くようないい銘柄を安く買えるチャンスです。
たとえば、小型建設機械メーカーの竹内製作所は輸出が99%で、米国が住宅支援策を拡充すれば業績向上が期待できる。だから『石破ショック』で安くなった9月30日に8000万円分くらい買いました。“安くなったら買いに行く”が僕の投資パターンです」
では、今から仕込んで上昇が期待できる銘柄にはどのようなものがあるのか。前出・藤井氏は「地方創生」「防災」「防衛」の3つのテーマを挙げる。
「石破氏が“日本経済の起爆剤”と位置づける『地方創生』、防災省の創設を提唱していることから『防災』関連も有望なテーマです。そして世界が二分されている情勢では、『防衛』関連も最重要テーマ。いずれも政策を推進するうえで大きな反対が考えにくいのも重要なポイントです。この3テーマに沿った銘柄は要注目でしょう」
「地方創生」では生産者と消費者をつなぐ産直アプリ「ポケットマルシェ」を手がける雨風太陽、地方自治体のDXを支援するチェンジホールディングスなどを挙げる。
「防災」では、消防車で国内シェア6割など災害現場に不可欠なモリタホールディングスを前出・岡山氏も推す。
「ほかにも消防ホース最大手の帝国繊維、防災機器メーカー大手の能美防災などは期待が持てます」(岡山氏)
「防衛」関連では、三菱重工業やIHIという防衛産業の“本命銘柄”のほか、「総合火薬メーカーの日油、ロケットなど固体推進薬の主原料を手がけるカーリットなども注目」(藤井氏)という。
さらに、岡山氏が注目するのは「銀行株」だ。
「高市氏は日銀の追加利上げに否定的だったが総裁選に敗れ、利上げ路線が続くという見方になる。そうなると金利上昇に伴って業績向上が期待できる銀行株も見逃せません。三菱UFJフィナンシャル・グループをはじめメガバンクや一部の地銀にも注目が集まりそうです」
今後、日銀の追加利上げが進む一方で米国が利下げを進めれば、日米金利差の縮小に伴って円が買われて「円高」が進むことも想定される。
岡山氏は輸入コストの低減による「円高メリット」を享受する銘柄にも目を向ける。
「海外の自社工場から輸入販売するニトリホールディングス、輸入食品の比率が高い『業務スーパー』を展開する神戸物産のほか、100円ショップ大手のセリアも注目です」(岡山氏)
ほかにも、一時的な「石破ショック」に負けないと期待される注目銘柄を別掲表にまとめた。
市場が動揺の最中にある時ほど、そこがチャンスなのかもしれない。
※週刊ポスト2024年10月18・25日号