欧米機関投資家は9月の最終週から大量の資金を中国株市場に投入している。香港メインボードにおける1日当たりの売買代金を調べてみると、8月は955億香港ドルに過ぎなかった。株価急騰の起点となったのは9月24日だが、その前日までの9月の平均売買代金は1045億香港ドルに留まっていた。それが、9月24日以降急増しており、10月7日までの9営業日間の平均売買代金は3394億香港ドルまで膨らんでいる。この間のハンセン指数の上昇率は26.6%だ。
中国本土からの資金流入も増えているといった報道もあるが、10月1日から7日にかけては国慶節休場のためストックコネクトを通した本土資金の流入はない。香港市場の主要な投資家は依然として欧米機関投資家であることを考え合わせると、欧米からの積極的な資金流入がハンセン指数の急騰を引き起こしていると言えよう。
欧米機関投資家が中国株投資に熱狂する中で、米国政府は米国資金の中国企業への流出を防ごうと必死だ。
ロイター社の報道によれば、米下院中国特別委員会のモーレナー委員長(共和党)は9月25日、対中投資を制限する法案をまとめることが同委の最優先課題との認識を示した。対中投資は「自らの破滅」を招くもので、阻止する必要があると語った。
バイデン大統領は2023年8月、半導体・マイクロエレクトロニクス、量子情報技術、人工知能(AI)の3分野において、対外投資を制限する大統領令にサインしている。現段階では産業界からの反発が大きく、それを実施に移すための規則が定められていないものの、当局の姿勢は一貫して変わらない。
遡ると、トランプ前政権時代の2020年11月、中国人民解放軍に協力していると認定された中国企業31社への証券投資が大統領令により制限されており、2021年1月には対象企業数は44社に拡大された。バイデン政権に変わった直後の2021年6月には59社に拡大された。香港上場銘柄の通信キャリア3社、石油開発企業のCNOC、半導体メーカーのSMIC、本土上場銘柄の杭州海康威視数字技術、浪潮電子信息産業、未上場の華為技術(ファーウェイ)などが投資制限リストに指定されている。