新入社員や新人スタッフへの教育方針や手法は各社さまざまだろうが、よくある光景の一つが、先輩や上司が新人に「1回教えたよね?」「言ったよね?」などと釘を刺す場面だ。だが、こうした言葉をあらためて伝えるべきなのか、ネットで議論を呼んでいる。言葉を受け取る側の立場では「辞めたくなる」「萎縮してますます頭に入らない」などと概ね不評だが、実際に教える立場にある人たちはどう思っているのか。率直な意見を聞いた。
「言ったよね?」と言ったところで何もならない
メーカー勤務の30代女性・Aさんは、自身のバイト時代を含め、先輩からの「言ったよね?」という言葉について「恐怖だった」と明かす。
「大学時代のアルバイトでは、接客業をしていました。レジ打ちや発注のシステム、返品方法などさまざまな業務があるのですが、一度の説明で覚えられるはずもありません。社会人になったばかりの頃も、『前にも言ったけど』『○回までは教えるけど』といった言葉をしょっちゅう言われました。私ってそんなに仕事ができない人間なのかと落ち込む日々でした」
現在指導する立場になったAさんは、こうした過去の経験から、部下には「わからないときは何度でも聞いて」という言葉をかけるようにしているという。
「大事なのは、質問しやすい環境を作ることだと思っています。『言ったよね?』と言う側は、相手に緊張感をもって覚えてほしいんだろうなと思いますが、それで緊張してしまう人もいる。『言ったよね』と言ったところで、何もならない気がするんです」(Aさん)