小学生の頃は、大学生を見て「大人だなぁ……」と感じ、20代で社会人になったら先輩社員を見て「30代までにあそこまで活躍できるかなぁ……」などと思うもの。そうしたなかでネットニュース編集者の中川淳一郎氏(51)は、「小さい頃は、50代の人は『サザエさん』に登場する波平(54)とフネ(52)夫婦を代表格として、威厳があって、落ち着きがある大人だと思っていた」と語る。ところが一方で中川氏は、「自分自身はまったく想定外の50代になってしまった」と感じているという。中川氏が「世代のイメージとリアル年齢のギャップ」について綴る。
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小学生の頃、集合住宅の1階下に住んでいる大学生の「おにいちゃん」がクリスマスにバイト先のケーキ店でクリスマスケーキを買ってきてくれたり、学園祭で軽音楽部のステージに立つ様を見て「大学生ってかっこいい!」と思ったもの。
しかし、自分が大学生になったら、ただ単に怠惰に過ごすだけで、酒ばかり飲んでいて「こんな大学生でいいのか……」と思う。就職活動で出会ったビジネスマンは皆キラキラしていて優秀に見えたものの、自分がいざ会社員になると怒られてばかりだし、恥を忍んで明かせば、発注書を出すのを忘れて外注先を倒産の危機に追いやり上司が特例を使ってなんとか最悪の状況を回避したりしたこともあります……。
その後「30歳になったらしっかりしている」「40歳になったら大人の貫禄が出る」なんて思ったものの、結局そんな日は来なかった。「三つ子の魂百まで」とはよく言ったもので、私自身、子ども時代からの「ゲームが好き」「手抜きが好き」「クワガタが好き」「グータラでありたい」「向上心に欠ける」が変わることはありませんでした。
それは身なりにも現れていて、社会人になって以降も初夏から初秋にかけては短パンとTシャツとサンダルという小学生的ファッションで過ごしている。それは50代になっても全然変わっていません。元々波平を見ていたため、「50代になったら会社では威厳があり、家に帰ったら浴衣に着替え、『一家の長』として、我が子夫婦と孫に対して威厳のある姿を見せる」という状況が来るのかと思っていたんですよ。
しかし私は新卒で入った会社を27歳の時に4年で辞めてしまい、結婚したのは40歳の時で、「正直、もう自分の人生で手一杯だわ。子どもを育てる甲斐性はない!」と子どもはハナから持たない、という選択をしました。さらには、一軒家やマンションを購入するのも「土地に縛られる人生はキツいわ」とばかりに、賃貸生活を続けている。