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キャリア

“音楽の授業の苦手意識”はどこから生まれるのか?当事者たちの述懐 「みんなの前で公開処刑」「真面目に歌うとからかわれる」…でも「当時の音楽の先生に謝りたい」

うまくなるかならないかは個人のポテンシャル次第

 Sさん(30代/男性/兵庫県)が「意味がわからなかった」と苦笑いで思い出すのは合唱だ。小・中学生時代は「全て口パクで乗り切った」と話す。

「私は音痴で、そもそも歌うことが大嫌いでした。それなのに、歌のテストでは一人ひとり前に出て歌わされる。みんなには背を向け、先生にだけ聴こえるレベルの声でやっと乗り切っていて、合唱では口パクが当たり前。酷いときは適当な理由を付けて、保健室で休んでいました。

 合唱コンクールでは、誰かが『頑張っていい結果を残そう!』みたいなことを言いだすのも苦手でした。居残り練習はただただ苦痛。別に一体感も感じられないし、早く家に帰って遊びに出かけたいということばかり考えていました」

 Kさん(20代/女性/東京都)は、中学時代から10年間吹奏楽部などでクラリネットを担当してきた。ならば音楽が好きかというと、「好きではなかった」と明かす。その理由を聞くとKさんは、「音楽の授業をやったからといって、歌や演奏がうまくなるわけじゃない」と指摘する。

「数学や英語は勉強ができるようになる、というわかりやすい目的があるのに対し、音楽はそういったものがない。音楽の授業って、勉強をしなくていい時間としてはいいんですけど、歌や楽器がうまくなる方法は、大して教わらないじゃないですか。

 歌は歌詞を覚えるだけ、リコーダーは指使いを習って課題曲をなんとなく繰り返すだけ……。そんなものなのかもしれませんが、うまくなるかならないかは個人のポテンシャル次第で、つまらない人には本当につまらなくなりがちですよね」

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