情けないのは、国民民主党の減税案を援護できない野党
世界で最も健全と言われる日本の財政下で、7兆円程度の税収減などまったく問題にならない。財務省のプロパガンダに耳を傾けてはいけないのだが、ザイム真理教の洗脳は国会に広く及ぶ。さっそく財務省は減税対象者をパート、アルバイトなど非正規社員に限り、サラリーマンは蚊帳の外に置くべく水面下で奔走しているようだ。玉木氏の真価が問われる局面だが、不倫問題もあり、最終的には基礎控除の増額は大幅に削られる公算が大きいと考えている。
情けないのは、国民民主党の減税案を援護できない野党である。議席数を50も増やした立憲民主党の野田佳彦代表は、財務副大臣時代にザイム真理教に洗脳され、増税容認派に転じた。小川淳也幹事長に至っては2050年までに消費税を25%に引き上げる必要性に言及している。
日本維新の会では政策論議そっちのけで、創設者の橋下徹氏と馬場伸幸代表の間で内ゲバが起きた。大阪の小選挙区で全勝したものの、全国では議席減となった維新は、結局ローカル政党として生きていくしかないのだ。絶大な人気を誇る橋下氏が代表に復帰すれば一発逆転も起きようが、それがない限り尻すぼみが続き、やがては自然消滅の一途を辿る可能性が高い。
ザイム真理教と戦える野党が出てこない限り、日本の未来は暗いままである。
【プロフィール】
森永卓郎(もりなが・たくろう)/1957年7月12日生まれ。東京都出身。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。日本専売公社、経済企画庁、UFJ総合研究所などを経て現職。近著に『身辺整理』(興陽館)『投資依存症』『書いてはいけない』(ともに三五館シンシャ)など。テレビやラジオのコメンテーターとしても活躍中。
※週刊ポスト2024年11月29日号