実際、民主党のクリントン政権、オバマ政権時に、労働者と富裕層の所得格差はめまいがするほど大きくなっていった。これは民主党が支持団体をIT企業や金融業界に乗り換えたことが大きい。つまり、富裕層優遇に党の方針を切り替えたわけだ。サンダース氏はこうも言っている。
「現在アメリカでは、2000万人もの人々が時給15ドル以下で働いているにもかかわらず、我々は最低賃金を生活賃金まで引き上げる法案すら提出していない。もしあなたが平均的な労働者なら、民主党があなたのために強力な特別利益団体と戦っていると思うだろうか。圧倒的に答えはノーだ」(『The Nation.』11月11日付「Bernie Sanders Is Right: Democrats Have Abandoned the Working Class」)
豪邸に住むセレブ達がハリス支持を表明するたびに、低賃金に苦しむ労働者はトランプ支持の意志を固めていったのではないか。
石破首相の「消費税は廃止しない」と国民民主党の「手取りを増やす」
経済が最大の焦点という点においては日本も同じだ。石破首相は、選挙前の党首討論会で、れいわ新選組の山本太郎代表に「消費税を撤廃する考えはないのか」と尋ねられ、「消費税は社会保障にとって重要な財源なので廃止するつもりはない」と語った。
しかし、考えてみれば、社会保障費は経済的な弱者救済のための財源だ。それを、消費税という、逆進性を持つ、つまり経済弱者にとって過酷な税で徴収するのは本末転倒ではないか。それを「重要な財源なので廃止するつもりはない」とさらりと言って平然としているのは、弱者の痛みなど考慮せずに「取りやすいから消費税で取る」と言っているに等しい。
これに対して、国民民主党は「手取りを増やす」減税政策によって、消費を促進し、経済を回そうと提言したわけである。これは「アベノミクスで飛ばなかった第二の矢(財政出動)を減税で飛ばす」策だと言ってよい。この具体的で明解な経済政策が議席と得票数の増加につながったのである。日米共に選挙の焦点は経済にあった。