相場よりもかなり安い金額が振り込まれ…(イラスト/大野文彰)
不要品の買い取りをインターネット上の業者に依頼したものの、その買取金額が想定していたよりも低いこともあるだろう。そういった場合に、返品を求めることはできるか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
インターネットで買取業者にゲーム機本体とゲームソフトの査定を依頼しました。ネット上に「高価買取」という文言があったのに、振り込まれた金額は相場よりもかなり安いものでした。
事前に査定金額の通知もなかったので、商品を返してほしいと依頼しましたが、すでに商品は手元にないと言われました。返品してもらうにはどうしたらいいですか。(神奈川県・45才女性・パート)
【回答】
あなたが依頼したのは、消費者庁のホームページで「『不要になった品物(本、衣類、ゲーム機など)を買い取ります』といったウェブサイトを見て、消費者が商品を梱包して事業者に送付し、送付後に査定される非対面式の買取りサービス」とされている宅配買取です。
宅配買取は、品物を送るだけの手軽さから利用されることが多い半面、業者と直接交渉していないので取引条件について行き違いがあり、トラブルになる例も多くあるようです。
自宅など店舗以外で業者に売る、いわゆる「訪問購入」では特定商取引法の規制の対象になり、さまざまな規制がありますが、ウェブサイトを介して消費者が業者に物を売る宅配買取には同法の適用がありません。しかし、いくらでもよいという取引ではなく、査定を依頼し、その結果を見て売るのですから、高価買取というだけで、代金額も額を決める基準も合意がなかったのでは、売買契約はまだ成立していません。そのうえ、すでに品物がないという業者の対応は極めて不当で、返還を求めることができます。