閉じる ×
ビジネス

絆創膏売上3年連続トップ「ケアリーヴ」シリーズ、発売元のニチバン担当者が語る“四半世紀の挑戦”の道のり 「価格が高い」「大容量は売れない」…業界の常識を覆した戦略

ケアリーヴがヒットした経緯を紐解く

ケアリーヴがヒットした経緯を紐解く

「キズバン」「カットバン」「バンドエイド」……地域によって異なる“絆創膏”の呼び方はしばしばSNSを賑わせるが、3年連続で業界トップの売上を記録しているのはニチバン株式会社(以下、ニチバン)が販売している絆創膏「ケアリーヴ」シリーズだ。

 全国のドラッグストア、スーパーマーケットなどのPOSデータを閲覧できる「ウレコン」によると2024年9~11月の「救急絆創膏」の購入個数ランキングは「ケアリーヴMサイズ 30枚」(500円・税抜)が1位。3位までを「ケアリーヴ」シリーズが独占している。

 絆創膏は100枚で200円以下などの安価な商品もある一方で、「ケアリーヴ」は高価格帯に位置するだろう。にもかかわらず、リピート率は他社製品が概ね2〜4%程度のところ、同シリーズは5〜9%、タイプによっては10%を超えるという。なぜ同商品が支持を得ているのか、ニチバンを取材すると、社内外での地道な活動があったことがわかった。

「品質の良さ」を信じて続けた“サンプリング”

 ニチバンが「ケアリーヴ」を商品化したのは1997年。当時、絆創膏は塩化ビニルというフィルム素材が主流だったが、「指を曲げるとすぐ剥がれてしまう」「剝がしたあとが白くふやける」といった悩みがつきまとうものだった。

 そのストレスを払拭すべく、ニチバンでは柔軟性と通気性に優れ、皮膚のどんな動きにもフィットする“高密度ウレタン不織布”に着目した。同社コンシューマー営業統括本部の浅井征也さんによれば、「これならいける」という商品ができあがるまで、開発には約3年の月日を要したという。

 発売当初から現在に至るまで商品の品質自体に大きな変化はないというが、四半世紀かけて業界売上No.1に至るまでの道のりで、大きな役割を担ったのは試供品を配るサンプリングだ。前出・浅井さんは、「とにかく一度使ってもらうことが大事だと考えました」と語る。

「市場的に根付いていない素材を採用していたため、そのまま売っても手に取ってもらえないと考えました。ただし品質に自信があるので、まずは良さを実感してもらうことを目指しました」(浅井さん、以下「」内同)

次のページ:試行錯誤をしながら認知度を上げてきた

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。