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川辺謙一 鉄道の科学

地方路線だけでなく東京圏でも「ワンマン運転」の列車が増えている事情 乗務しなくなった「車掌」の仕事をどのようにカバーしているのか

車掌の仕事

 車掌の仕事は多岐にわたります。わたしたちが鉄道を利用するときに見ているのは、その一部にすぎません。

 また、鉄道利用者がわかる仕事だけでも、さまざまな種類があります。私の友人である車掌に聞いたところ、ざっくり言うと以下の8種類の仕事があるそうです。

【1】ホームの監視
【2】ドアの開閉操作
【3】車内アナウンス
【4】車内の監視・巡回
【5】検札や乗車券などの販売
【6】運転士や指令員との情報共有
【7】車内の空調管理
【8】異常時対応

 これらは、すべて重要な仕事です。ただし、それぞれくわしく説明すると長くなるので、今回は【1】と【2】だけ補足説明します。

【1】の「ホームの監視」は、列車を安全に走らせるための重要な作業です。この作業では、列車が駅に到着、出発するときに、車体側面の窓から顔を出して駅のホームの状況を監視し、非常時には列車を緊急停車させます。言い換えると、前方しか見えない運転士の目の代わりをして、ホームでの安全を確保しているのです。列車が出発してホームを離れた直後は、列車の進行方向に対して後ろを向いて、ホームで異常が起きていないかを確認します。

【2】の「ドアの開閉操作」は、車体側面にあるドアを開け閉めする作業です。これは、列車の編成が長くなり、ドアの数が増えるほどむずかしくなります。たとえばJR山手線では11両編成の列車が走っており、駅に停車するたびに44ヶ所のドアが一斉に開閉します。もちろん、乗客が駆け込んで身体が挟まる、もしくは乗客が持つ荷物が挟まるなどして、ドアが1ヶ所でも正常に閉まらないと、列車は出発できません。これによって出発時刻が定刻よりも遅れると、その影響が他の列車に及び、路線全体でダイヤが乱れ、輸送が混乱することがあります。

 以上が、車掌が真剣な顔つきで【1】や【2】の仕事に向き合っている大きな理由です。他の【3】~【8】の仕事に関しても、車掌が真剣に向き合う理由があります。

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