過去の教訓から何も学ぼうとしない政府と日銀
財政と金融の同時引き締めなどという暴挙に出れば、GDPがマイナス成長となるのは火を見るより明らかだった。
問題は政府と日銀が過去の教訓から何も学ぼうとしないことだ。実は約100年前に濱口雄幸政権が同じ失敗を犯していた。財政と金融の同時引き締めを行なった結果、1930年から昭和恐慌に突入。巷には大量の失業者があふれ、農村では娘や妻が身売りを余儀なくされるなど、国民生活は悲惨を極めたのだった。
当時と同じことを行なえば日本経済は墜落するに決まっている。このままでは昭和恐慌さながらの「令和恐慌」まっしぐらだろう。
こうした馬鹿げた政策について、新聞・テレビをはじめとする主要メディアは批判の声を上げない。それどころか、多くのエセ経済学者たちは、「2025年の日本経済は好調に推移する」などと、能天気な展望を垂れ流している。
日本経済を立て直すには、財政と金融の同時緩和政策に抜本転換する必要がある。そして、それを実現させるための最大のチャンスがくる。2025年夏の参議院選挙だ。日銀と財務省の愚策にお墨付きを与える自民党、公明党、立憲民主党を大敗に追い込むことだ。それなくして日本経済の衰退を止めるのは不可能である。
【プロフィール】
森永卓郎(もりなが・たくろう)/1957年7月12日生まれ。東京都出身。経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。日本専売公社、経済企画庁、UFJ総合研究所などを経て現職。近著に『身辺整理』(興陽館)『投資依存症』『書いてはいけない』(ともに三五館シンシャ)など。テレビやラジオのコメンテーターとしても活躍中。
※週刊ポスト2025年1月31日号