「令和の日本列島改造」「地方創生2.0」「デジタル田園都市国家構想」──どこか懐かしい響きの政策ばかりが並ぶ石破政権。いずれも昭和の時代に提唱され話題になった政策名に通じるものだが、果たして今後成果は期待できるのか?
内閣官房に新設された政府の有識者会議「新しい地方経済・生活環境創生会議」の委員であり、新書『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』が話題のジャーナリスト・河合雅司氏が解説する【前後編の前編。後編を読む】
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「『令和の日本列島改造』と位置付け、『地方創生2.0』を強力に推し進めてまいります」──。
1月6日の年頭会見で石破茂首相は、故田中角栄元首相の著作タイトル『日本列島改造論』になぞらえ、地方創生に対する思いの強さを披歴した。
地方創生がスタートしたのは安倍晋三政権が「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を閣議決定した2014年12月だ。石破首相はこのとき、初代地方創生担当相として携わっていた。以来10年の歳月が流れたが、地方の人口減少は止まらず、政策は大きな成果に結びついていない。
『地方創生2.0』と名前を変えてみても、発想を大胆に改めないかぎり結論は同じだろう。まずは過去を反省するところから始めることである。
なぜ地方創生は思うような成果を上げられずにきたのか。さまざまな要因の中で取り上げたいのは以下の3点だ。