トレーに取ったパンを戻してもいいのか問題
ベーカリーショップにおいて、客自らが商品をトングで取り、トレーにのせる形式の店は珍しくない。そうした店でのマナーとして、トレーに一度のせたパンを陳列棚に戻すのはありかなしか、ネット上ではしばしば白熱した議論が繰り広げられる。パンを棚に戻す行為を“あり”という人、“なし”という人それぞれの主張を聞いた。
「回転寿司で一度取った皿を戻さない」と同じでは
「あり得ません」と言い切るのは、金融機関勤務の30代女性・Aさんだ。友人との“パン戻し事件”を振り返る。
「友人と一緒に、何を食べようかという話をしながらパンを選んでいた時のこと。友人が『これやっぱやめてこっちにする』と言って、一度トレーにのせたパンを陳列棚に戻したんです。私は、一度取ったパンを戻すという発想がなかったので、びっくりしました」
Aさん自身は「戻すことなく買う」ことを徹底しており、「回転寿司で皿を取ったら戻さない感覚と似ています」と話す。
「ビュッフェや回転寿司で、一度取ったものを戻さないですよね? それと同じです」(Aさん)
間違えたら変更できないということなのか
トレーに取ったパンを戻しても「気にしない」人もいる。メーカー勤務の40代男性・Bさんは、「素手で触っているわけではないし、何が悪いのか」と疑問を口にする。
「素手で包装されていないパンをつかむんだったらともかく、トングでつかむんだから、問題ないというスタンスです。形を崩したり、床に落としたりではない限り、構わないと思うのですが……。それにパン屋さんだけ戻しちゃいけないっていうのはおかしな話。スーパーで食材や商品、お惣菜をかごに入れて、普通に戻すことはありますよね」
一度トレーにのせたパンを戻せないとなると、Bさんは「買う気をなくします」と語る。
「一度トレーにのせたパンを戻せないというのは、“間違えられない”わけですから、相当なプレッシャー。取り間違いのミスに気付いても変更できないのは厳しいです。『クリームパンを食べようと思ったけど、やっぱりこっちのメロンパンがおいしそう』ってなっても、やり直しが許されないわけでしょ。パンを気軽に買えなくなります」(Bさん)