「切り捨てる」勇気をもつ
一点に絞り込んでいく過程で重要なのは、「優先順位をつけること」だ。
問題を切り分けていけばいくほど、いろいろな課題が出てくる。英語も数学も物理も弱い、というときに、何を優先するのか順番をつけていかなくてはいけない。
ところが集中できない人は、考えなくてはいけないことを、すべて処理しなくてはいけないと思ってしまう。あれもこれも、みな途中まで考えて、あれも大切だ、でもこっちも大切だといろいろなところに考えが飛んでしまい、どれも解決できないまま、ぐるぐる回ってしまう。
だが、人間は生きていれば、誰でも考えなければいけないことをたくさん抱えている。それらを同時に解決することなど、およそ不可能だ。だから課題や問題をうまく切り分けて、整理し、優先順位をつけていくことが、集中して考えるためには必要だ。
優先順位をつけるとは、割り切ること、他を切り捨てる勇気である。とりあえずこの問題はわきにおいておくという思い切りのよさが必要なのだ。
伊藤塾でも、「合格するためには基礎・基本に集中しなさい」と指導している。私はこれを「それ以外に手を出さない勇気」という言い方をしている。
書店に行けば、たくさんの参考書や問題集が並んでいる。インターネットをのぞけば、いろいろな勉強法や合格法があふれている。「へえ、こんな勉強法もあるんだ」とか「こんな参考書もあるんだ」というふうに気になって手を出し始めると、たいていつぶれてしまう。情報があふれている今、それらに惑わされないことが重要だ。
天才が日常生活で支障をきたしてしまう理由
優先順位をつけるために、他を切り捨てるといったが、何も未来永劫、無視して捨てるというわけではない。とりあえずはわきにおいておく、というだけだ。どうしても他が気になるという人は、まずこれを片づけてから、そちらをやる。順番にやっていくというだけなのだ、と自分に言い聞かせておこう。
ちなみに私自身の話をすると、私は「集中」の状態に入ると、もうそれ以外はまったく目に入らなくなってしまう。