政府備蓄米の放出について発表する江藤拓・農林水産相(時事通信フォト)
米高騰について農水省は「流通全体に目詰まり」と説明
一連の米高騰について農水省に聞くと、以下のように答えた。
「流通全体に目詰まりが起きているものと考えています。その結果として店頭価格の上昇につながっている状況と認識しています。現在、大規模な集荷業者、卸売業者に加え、生産者や小規模な集荷業者、卸売業者に調査の範囲を広げ、在庫状況の調査を行なっているところです」(農産局農産政策部企画課)
江藤農水相は「備蓄米の放出」を発表したが、米専門店「つねもと商店」COOで米流通評論家の常本泰志氏は、その効果に懐疑的だ。
「備蓄米は農協や集荷業者が入札して政府に売ったもので、市場に放出した同量の米を政府は1年以内に買い戻さなければいけない決まりがある。ようするに一時的に“貸し出す”だけなのです。短期的には流通量が増えて値下がりする可能性はありますが、根本的な解決にはなりません」
米の値段はいつ下がるのか。エネルギー価格の高騰による生産、流通コストの上昇という課題もあるが、常本氏が指摘するのはより根深い問題だ。
「米農家の廃業、高齢化は進む一方で、この10年で作付面積は2割も減少しました。長期的に見ればさらなる減少は避けられず、国産米の供給が先細りになることは目に見えている。若い担い手を増やす、農地の集約を加速させるなど抜本的な対策をしない限り、米高騰は続くでしょう」
これからは「米=高い」が当たり前の時代になるのかもしれない。
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※週刊ポスト2025年2月28日・3月7日号