カルロス・ゴーン氏が考える日産の再建策とは
ホンダと日産自動車の経営統合協議は、わずか1か月半で「破談」に終わった。パートナーを失った日産は、再び経営危機に立たされている。かつて、経営トップとして日産を破綻寸前の危機から救い、その後に“追放”されたカルロス・ゴーン元会長は、この現状をどう見るのか。レバノン・ベイルートのゴーン氏にリモート・インタビューを行なった。ここでは、日産再生のために必要なことについてゴーン氏の見解を紹介する。
日産の問題を解決するためには何が必要か
──日産の再生は可能か。
「そう思っている。人間が作り出した問題を、人間が解決できないことはないからだ。1999年に私が日本を訪れた時、多くの人は私に『日産は絶望的だ』と言ったが、私はそうは思わなかった。
そして『日産リバイバルプラン』を打ち出し、成功したわけだが、それはプランの出来に加え、多くの日産社員が協力してサポートしてくれたからだ。私が指揮した1999年から2018年まで、非常に長い成長・発展・強化の時期を過ごした。
しかし、今の日産は1999年以前の姿に戻り、ビジョンがなく、財務をはじめ経営問題を抱えている。日産が発表した9000人解雇以上のことをしなければならないはずだ。加えて、コスト削減だけでは会社を救うことはできないことも確かだ」
──あなたなら、どのように今の日産の問題を解決するか。
「そもそも、私の経営スタイルは日産を今日のような崩壊に導いたものとは明らかに異なる。私は明確な決断を下し、伝える人間だ。日産のリーダーとしての18年間、私の行動にマスコミが混乱することはなかった。優先順位、予算、3か年計画、結果に対するコミットメントが明確だったからだ。
つまり、当時の『日産リバイバルプラン』を今また新たにやるべきだ。3か月程度をかけて社内で面接を重ね、何が起こっているのか、何が間違っているのか、何を修正できるのかを明らかにする。経営陣が与えた損害を詳らかにしたうえで、日本の若い世代の経営陣らを起用して、彼らが会社の未来に向かって舵を取れるようにします。
中国との競争があり、新しいテクノロジーが登場するが、これは脅威ではなく、すべてがチャンスだ。変化を脅威と見なす時、すでに戦いに敗れている。今の責任者たちはそのことを全く理解していない。私は、日本社会が一部の組織の経営陣の凡庸さに“寛容”であることに驚いている」