つまり、これらのことがわかっても、仕事に影響することがない以上、会社は解雇できません。もし会社が解雇を強行したとしても、それは労働契約法が定める「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」に該当し、解雇権の濫用として解雇は無効です。
もっとも、就業規則には懲戒解雇の事由として「経歴詐称」を掲げる例があります。これは従業員を採用する際に、会社は採用予定者の人となりを充分に把握できないことから、会社の事業にふさわしいかどうかを判断するうえで、その経歴を知ることが重要で、これを偽った場合には解雇するというものです。
息子さんが採用試験の際に面接者から借金の経歴の有無について質問されたのに否定していた場合、この経歴詐称に該当するかが問題になります。
しかし、職歴や取得資格などと違い、借り入れ経験は仕事の適性や能力を判断するうえで重要でなく、解雇はできないと思います。
とはいえ、例えば銀行など信用が重要な会社では、従業員の経済的状態も重視せざるを得ません。
こうした会社に就職後、再度消費者金融などの債務がたまって給料を差し押さえられたりして、過去に借り入れの返済を延滞していたことが判明し、嘘が明らかになった場合は経歴詐称を理由に懲戒解雇処分を受ける可能性がないとはいえません。
※女性セブン2025年3月6日号