失敗を糧に「グロース株」にたどり着いたすぽさんの投資スタイルとは(イメージ)
株式投資で億の資産を築いた「億り人」であっても、常に成功ばかりが続いてきたわけではない。個別銘柄を分析する人気ブログを長年運営してきたハンドルネーム「すぽ」さんもそうだ。サラリーマン時代に株式投資を始め、当初は順調に資産を増やしたが、世界的な金融危機で大きく目減り。その後、投資スタイルを変えて5年あまりで運用資産を10倍に増やしたという。そんなすぽさんに話を聞いた。
エンジニアとして働いていたすぽさんが株式投資の世界に飛び込んだのは2004年。勤務先が企業型確定拠出年金(DC)を導入したことがきっかけだった。当時は投資に関する知識がほとんどなく、証券会社の担当者から説明を受けても理解することができなかったため、独学で始めることにしたという。
「『金儲けの神様』と呼ばれた邱永漢さんの本を読んだりしていくうちに、株式というのは持っているだけで資産を増やせるチャンスが大きいこと、株式会社のシステムが世の中の様々なものを発展させていることなど、株式の基本的な性質が分かってきて、これは面白いなと思いました。
また、私は昔から企業分析に関心があって、趣味で『近代マーケティングの父』と呼ばれる経営学者のフィリップ・コトラーさんらの本を読み漁りながら『どういう企業が儲かるのか』といったことを学んでいました。ただ、エンジニアの仕事では使い道がなかった。株式投資を始めれば、自分なりに蓄えてきた企業分析の知識も活かせるのではないかと思ったんです」(以下、「」はすべてすぽさんの発言)
転機はインスタントラーメン「康師傅」での儲け
当時、邱永漢氏が著書で「これからは中国株が面白い」としていたため、すぽさんも中国株をメインに投資をスタート。資産は順調に増えていき、数年で2倍に達した。
しかし、2008年のリーマン・ショックによって運用資産の約半分を失うことに。コツコツ増やした利益が一瞬で吹き飛んでしまったのだ。その苦い経験を機に、すぽさんは投資のスタイルを見直すことにした。
「それまではバリュー(割安)株ばかりに目を向けて、『PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)が低ければいい』という考え方だったのですが、中国株をメインに何年か資産運用してきたなかで、将来の成長が期待できるグロース株を買ったほうが儲かるなという実感がありました。メインで買っていた海運などのバリュー株はたいして儲けがなかったけど、軽い気持ちで買った康師傅(カンシーフー)というインスタントラーメンの会社とか、蒙牛乳業(もうぎゅうにゅうぎょう)という乳製品会社の株で意外と儲かったんです。
また、中国株の場合は企業の細かい情報が得られず、私の得意とするビジネスモデルの分析が難しいなと感じていたので、日本株にシフトすることにしました。そうして私は、『成長(グロース)が期待できて、ビジネスモデルが良くて、そこそこ割安な日本株を買う』という投資スタイルを確立していき、現在に至ります」