「ひらめき」や「直感」を生むためにはどうすればよい?(イメージ)
「もっと新しい視点を持ちたい」「何かひらめきが欲しい」。何かを提案したり、企画を考えたりする際、そう思ったことのあるビジネスパーソンは多いのではないだろうか。一体どうすれば「ひらめき」が生まれるのか。何かうまい術はあるのか、それとも“才能”なのか――。
ボストンコンサルティンググループで長らく戦略コンサルタントとして活躍していた金光隆志氏は、思考態度や思考枠を理解すれば、「ひらめき」や「直感」が生まれるようになるという。金光氏の著書『戦略コンサルのトップ5%だけに見えている世界』(クロスメディア・パブリッシング)より、トップ5%に近づく思考の転換方法を紹介する。【全2回の第2回】
戦略においてロジックよりも重要なもの
トップ5%だけが備える「思考態度」の特徴をまとめておくと、大きくは次の2つです。
【1】思考の本質を捉える「思考とは何かの思考」
【2】思考の限界を突き破る「思考を止めない思考」
トップ5%だけが備える思考態度など自分には無理だろうと思うかもしれませんが、身構える必要はまったくありません。身も蓋もない言い方をすると、好奇心旺盛な子どものような思考態度なのです。そう言うと、鋭い人は余計身構え、ピカソの言葉を思い出すかもしれませんね。ピカソは次のような言葉を残しています。
「子どもは誰でも芸術家だ。問題は大人になっても芸術家であり続けられるかだ」
そして、晩年に「この歳になってようやく子どものように絵が描けるようになった」「ラファエロのように描くには4年かかったが、子どものように描くには一生涯かかった」と語ったとされます。過剰な比喩は禁物ですが、示唆的ではないでしょうか。
ところで、戦略コンサルタントは「ロジックが命」というイメージがあるかもしれません。実際に戦略コンサルタント自身の中にもそう考えている人はたくさんいます。ところが、戦略にとって、ロジック以上に重要なものがあります。それは「インサイトが導く創造性」です。最近の戦略コンサルタントしか知らない人には意外に聞こえるかもしれません。でも、少し考えてみるとわかります。
ロジックは一定程度までなら誰が考えても同じような結論にたどり着きます。つまり、正論や正解を導きます。だからこそ有用なのですが、戦略はやっかいなことに競争相手と同じことを考えていては勝てません。競争相手の裏をかいたり、相手が思いもよらない手で先手をとったり、相手が気づいたとしても模倣できないことを仕掛けるから成功するのです。論理的に正しいことよりも、一見ハチャメチャでも思いがけない創造性がある戦略のほうがずっと有用かつ重要なわけです。とても大事なことなので頭の片隅に置いておくとよいでしょう。