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オバ記者が出会った“ムショ仲間”の「デカトワル」

「食を変えるとここまで変わるのか!」 元刑事と元受刑者のコンビ「デカトワル」による“食と心”に関する講演会に心動かされる人たち

元刑事の阿部佑介さん(左)と元不良の串田大我さんのコンビ「デカトワル」(『デカトワル 人生を変えたホリスティックとの出会い』の表紙)

元刑事の阿部佑介さん(左)と元不良の串田大我さんのコンビ「デカトワル」(『デカトワル 人生を変えたホリスティックとの出会い』の表紙)

いつの間にかバイクに乗って小学校に通い出した

 一方の「ワル」こと串田大我さん(42才)は、「私は、同じ中学の同級生が自分も含めて4人、刑務所に行っています。母校から毎年2、3人は入っています」と言う。すかさずデカさんが「なんか学習塾のCMみたいですね」とまぜっ返して、会場に笑いが起こる。

「父親が母親にDVしているのを見て育ちました。父はそのうち私にも手を上げるようになり、小学校高学年になると、角材、木刀、ゴルフクラブ、鉄パイプで殴られるようになりました。たまらず外で遊ぶようになったら仲間ができて、いつの間にかバイクに乗って小学校に通い出しました。よく警察に通報されました」

 凄惨な体験を淡々と話すワルさんの口調はどこかおかしく、味がある。高校では恐喝で捕まり、少年鑑別所に行った。どうにか高校を卒業したものの、社会に出た後は仲間に誘われて闇金融勤務。「コツコツ真面目に悪行に励んでいた」ら、その世界でいつの間にか上位の立場になった。そして23才のとき、悪事の現場を刑事に踏み込まれて逮捕された。求刑7年、実刑6年の判決を受けて少年刑務所に服役。その3年後、母からの手紙で父親の急死を知らされた。

「あんなに憎かった親父だったのに、涙が止まらなかったんです。そして、『おれ、こんな塀の中で何やってんのかな』と考えるようになりました。出所の日がたまたま自分の誕生日だったんです。これは生まれ変わりのチャンスだなと思いました」

 地道に生きると決めて、両親と同じ美容師の道に進んだものの、パーマ液で手が荒れて片頭痛もひどくなった。また元の闇金の世界に戻ろうかと考えるほど精神的に追い詰められていたときにホリスティック栄養学を知る。通信制の学校に通って、基礎栄養学、解剖・生理学、心身相関学を遮二無二学んだ。デカとワルはそこで出会い、意気投合した。

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