ウォッチリストに入れたら「次のきっかけ」を待つ
ウォッチリストを作成(少額投資や、気になる企業の名前や株価をメモ)したら、あとは「次のきっかけ」を待ちます。NVIDIA の例がわかりやすいので、あらためてNVIDIA の成長を時系列で振り返ってみましょう。
【2012年】
・AIモデル「AlexNet(アレックスネット)」がコンペ「ILSVRC」で圧倒的な優勝を果たす。
・AI研究者たちの間で「AIは本当に使える技術になった」「今後、ビジネスや産業にAIが本格的に応用される時代が来る」という期待が一気に高まる。
・ただし、この段階では「AIブームの主役= NVIDIA」という認識は、世間一般はもちろん、AI研究者たちの間にも私にもまだない。
【2014年】
・「AlexNet がAIの歴史を変えた」「その高い性能を支えていたのがNVIDIA 製GPU(半導体チップ)だった」という情報がAI業界以外でも噂されるようになる。
・私はそんな噂を聞きつけ、「もしAIが本当に来るなら、NVIDIA は大きく伸びるのかもしれない」と直感的に感じはじめる。
・私は直感に従い、このタイミングで「最悪ゼロになってもいい」程度の少額投資を行い、NVIDIA をウォッチリスト入りさせる。
【2015年】
・NVIDIA のCEO、ジェンスン・フアン氏がAIやディープラーニングに本気で注力する姿勢を明確に示す。
【2017年】
・Google が「Transformer」というモデルを開発し、現在のChatGPT などに連なる生成AI技術の基礎を築く。
・AI業界を超え、テクノロジー業界全体でも「AIはこれから当たり前になる」というムードがさらに強まる。
【2018年】
・NVIDIA が「この業界に強力で多用途なコンピューティングプラットフォームを提供する」と明言し、AIへのシフトを加速。
・私はCEOの本気度に確信を深め、一気に株を買い増す。
2012年当時、私はAI業界の歴史的快挙(AlexNetの優勝)やNVIDIA の将来性を知らず、唾を付けることすらできませんでした。
しかし、2014年になるとAI界隈の噂やNVIDIA のポテンシャルが耳に入り、「気になる企業だな」と直感し、「最悪ゼロになってもいい」程度の少額投資を行い、NVIDIAをウォッチリスト入りへ。ウォッチリスト入りしたことで、NVIDIA が自分ごとになり、私はさらにニュースや動向を自然と追うようになりました。
ここまでが「唾を付ける」「ウォッチリストに加える」ステップです。
そして2018年、ついに「次のきっかけ」が訪れました。NVIDIA のCEOがAIプラットフォームに注力する姿勢を一段と明確に打ち出し、私は「NVIDIA は本当にAIの時代を見据えている」と確信。その瞬間、NVIDIA 株を大きく買い増すことを決断しました。
もしもこのときフアン氏が「VR用ヘッドマウントディスプレイ向けの半導体製造にフルコミットする」などと私の考えと大きくズレる方針を示していたら、NVIDIA 株は売り払っていたでしょう。