ファイナンシャル・アドバイザーという職業柄、顧客のお金を運用する立場としては、大きな損失を出した場合の責任を考えねばなりません。そのため、教科書通りの分散投資を原則とするしかないわけです。
しかし大きなリターンを狙うためには、ある程度のリスクを取る必要があることも彼は十分に理解しているのです。彼は私のポートフォリオを見て、専門家としての立場と、一個人としての本音との間で葛藤したのでしょう。
もちろん一般的な投資のセオリーとしては分散投資が推奨されます。しかし、自分が情熱を注げる分野、「推し企業」への強い信頼があるなら、私は分散を気にしすぎる必要はないと考えます。
推し投資における「偏り」は、むしろ大きなリターンを得るための「強み」にもなるからです。
■前編記事《「リーマン・ショックも実質ノーダメージで乗り切った」エヌビディア株をいち早く見出した投資家・中島聡氏が説くガチホの重要性 長期保有のために「メタトレンド+推し」という2つの軸で構えよう》から読む
※中島聡・著『メタトレンド投資 10倍株・100倍株の見つけ方』(徳間書店)より一部抜粋・再構成
元マイクロソフトのプログラマーで、さまざまなソフトウェア開発をおこなう傍ら、投資家としても活躍する中島聡氏(写真:徳間書店提供)
【プロフィール】
中島聡(なかじま・さとし)/1960年北海道生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修了。マイクロソフトでソフトウェア・アーキテクトとしてWindows95などの基本設計を手がける。2000年にXevo(旧UIEvolution)を創業。2019年に同社を3億2000万ドルで売却。現在はさまざまなソフトウェア開発を行っている。