携帯電話見本市「MWC」は多くの人で賑わった(筆者撮影)
楽天グループの2024年通期決算は5年ぶりに営業黒字を達成、危機説のあった楽天モバイルの収益改善が大きかったという。野心の尽きない三木谷浩史社長は、すでに携帯事業の“次”を見据えているという。ジャーナリストの大西康之氏が、三木谷氏も参加したスペイン・バルセロナで開かれた携帯電話見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」での米中パワーゲームの模様をレポートする。【全3回の第1回】
ファーウェイの技術に世界から注目が集まる
世界中の移動通信事業者が年に一度、スペインのバルセロナに集まる携帯電話見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」が3月3日に開幕した。
出展社数2700社、来場者数10万1000人(2024年実績)。日本からはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの携帯4社のほか、NECや富士通、NTTが主導する光電融合技術の国際連合「IOWNグローバルフォーラム」も参加した。
世界の通信はどこに向かい、そのなかで日本勢はどう戦うのか─。7年連続の出展となる楽天モバイルの会長で、楽天グループ会長兼社長の三木谷浩史氏が現地で単独インタビューに応じた。
百聞は一見にしかず。まずは三枚の写真をご覧いただきたい。一枚目は中国の通信機器最大手、華為技術有限公司(ファーウェイ)のブースだ。
MWCには8つのホールがある。毎年のことだが、入り口から一番近い「ホール1」はファーウェイの貸切だ。会場は立錐の余地もない混雑ぶり。筆者は昨年もファーウェイのブースを訪れたが、明らかに来場者は増えている。
原因は中国生まれの格安生成AI「DEEP SEEK(ディープシーク)」の登場だ。OpenAIの「ChatGPT」など欧米のものよりはるかに低コストで同等程度の性能を発揮するというディープシークには、ファーウェイの半導体チップが使われているという。