携帯電話見本市「MWC」は多くの人で賑わった(筆者撮影)
3月2日、バルセロナに本社を置く楽天グループの動画配信子会社「Rakuten TV」の本社で開かれたMWC2025の前夜祭では現地記者と三木谷氏の間でこんなやり取りがあった。
現地記者「今年もMWCの会場はO-RAN、O-RANと騒いでいるが、実際にはまだほとんど普及していない。なかなか進まないのはなぜか?」
三木谷氏「それはO-RANが新しすぎるからです。楽天モバイルは2020年に世界で最初にO-RANを商用化しましたが、最初は無料でサービスを提供しました。無料なら『万が一、繋がらなくても怒られないだろう』と思ったからです」
笑いを誘った後、三木谷氏はこう付け加えた。
三木谷氏 「日本の楽天モバイルの契約件数は2025年末までに1000万件を突破すると考えています。楽天のO-RANソフトを使っているドイツのワン&ワンも1000万件を超えるでしょう。2000万人のスケールで問題なく使えるとなれば、世界の通信大手のO-RANを見る目が変わるでしょう」
【プロフィール】
大西康之(おおにし・やすゆき)/1965年生まれ、愛知県出身。ジャーナリスト。1988年早大法卒、日本経済新聞社入社。日経新聞編集委員などを経て2016年に独立。著書に『起業の天才! 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』(東洋経済新報社)、『最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか』(小学館)など。
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※週刊ポスト2025年3月28日・4月4日号