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中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

「当然おごってくれるんでしょ?」羨ましいばかりじゃない“名家出身”というだけで色眼鏡で見られる苦労 フツーの家に生まれて好き放題できるほうが幸せかも

「私を特別扱いしないでください」

 私自身、資産何千億円の創業家の人、とある県においてはNo.1の権威を誇りその県の文化活動をリードする家の孫、といった方々と多数会ってきました。

 普通にチェーン居酒屋で一緒に飲んだりしましたが、概ね根っからの育ちの良さがあって、私たち庶民を見下すようなことはありませんでした。あくまでも「私はいい家に生まれたものの、それは偶然のこと。皆さん、私を特別扱いしないでください」と考えていることが、言葉の端々に表れていました。

 だからこそ私はこうした名家の方々の“モヤモヤした感情”を感じ取り、一切家柄のことには触れず、その人自身と向き合うよう心がけてきました。

 こうした方々は常に「名家」という色眼鏡で見られて、自分の本当の実力や能力を判断してもらえない辛さを抱えている。一方で、名家の看板は大きいため、少しでもその名を汚しかねない行動があれば、家族会議で糾弾され、自身のやりたいことも止められてしまうことでしょう。名家の威光を利用しようと寄ってくる人間もいるだろうし、周囲の人への警戒心も強まりがち。

 そうした苦労を考えると、名家出身ということで、比較的安泰な人生を送るより、フツーの家に生まれて好き放題できる人生の方が幸せな側面もあるのでは。とにかく、名家の出の人だからといって、その人をボンボン扱いするのはやめた方がいいです。それは偏見です。

【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は倉田真由美氏との共著『非国民と呼ばれても コロナ騒動の正体』(大洋図書)。

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