「様々な業界の中間に立てているからこそ言えることもある」
ボランティアを集める側もそんな世の中を変えたいという願いを持っていて、僕のもとにも社会福祉協議会とかコミュニティから講演の依頼が寄せられます。
ビジネスとボランティア、ビジネスと地域、ビジネスと福祉、ビジネスと医療……僕らはその中間にいるので、そこから何かを学びたいと言われているんだと思います。
うきはの宝は、非合理的なことをやっている会社だけれど売上は上がっていて、利益も出ています。
さらに、高齢者が元気になる仕組みを考えるうちの取り組みには、社会保障費の高騰などを少しでも抑えたいという社会貢献の一面もあります。このバランスがなかなか珍しいらしいんです。
これまでのビジネスでは利益を上げることだけがメインストリームだったけれど、われわれの目的はそこではない。まだまだ規模は小さいし利益率は低いけれど、国の負担を削減しようとか、高齢者の孤立や貧困の問題を解決しようとか、地域社会に必要なビジネスだから、様々な業界の中間に立てている。そういう自負がありますし、中間に立てている僕らだから言えることもある。
本当に世の中のためだと思うなら、ボランティアに頼るだけではどうしたって限界があります。「世の中のため」というお題目以外の何か──本人のやる気だとかモチベーションを高められる人と人とのつながり方に、医療や福祉の現場が抱える問題を解決するヒントがあるのかもしれません。
※大熊充著『年商1億円!(目標)ばあちゃんビジネス』から一部抜粋して再構成
【プロフィール】
大熊充(おおくま・みつる)/1980年、福岡県うきは市生まれ。うきはの宝株式会社代表取締役。地元の高校を中退後、独学でデザインを学び、2014年デザイン会社を創業。デザイン会社経営の傍らソーシャルデザインを学び、地元うきは市の地域課題を解決すべく様々な活動を開始。生活に困窮し、生きがいを失っている高齢者に「生きがい」と「収入」を創出すべく2019年、うきはの宝株式会社を創業。福岡県知事賞を受賞した『蜜な干し芋』、発行部数5000部の『ばあちゃん新聞』など、ばあちゃんの知恵を活かしたヒット商品を続々と世に送り出す。75歳以上のばあちゃんがいきいきと働くうきはの宝の取り組みは、認知症専門家からも注目を集めている。