なぜ野党は石破政権に内閣不信任案を出さないのか?(時事通信フォト)
「10万円商品券問題」などで石破茂・首相への批判が日に日に高まっているにもかかわらず、なぜか野党による政権打倒の動きは鈍い。実は、石破政権を守ろうとしているのは野田佳彦・代表率いる立憲民主党ではないか──永田町ではそんな声まであがり始めた。一体、何が起きているのか。背後に見え隠れするのは、財務省を核とした“増税マフィア”の策謀である。
なぜ内閣不信任案を出さないのか
奇妙な政治状況だ。
国会では連日、石破首相の商品券問題が追及され、支持率は20%台に落ち込んだ。自民党からも、「今の状況では参院選を戦えない。もう一度総裁選をやって新しいリーダーを選ばないといけない」(西田昌司・参院議員)と首相交代を求める声が公然とあがり、本来は政権を支える立場の小野寺五典・政調会長まで「政府に言いたい。高額療養費、商品券、こういうことで、この難しい状況に影響を与えないでほしい」と首相を見限った口振りだ。
いまや石破首相は絶体絶命。反主流派議員は「予算成立後に石破おろしが始まる」と手ぐすね引いている。
野党には絶好の攻め時のはずだ。結束して内閣不信任案を提出すれば、少数与党の石破内閣には否決できない。一押しで政権を倒せる状況である。
ところが、野党はなぜか不信任案を提出して政権を倒そうとはしない。
野田佳彦・立憲民主党代表は「(商品券配布は)法律に違反している可能性は十分にある」と指摘しながらも、
「徹底して説明を求める。内閣不信任決議案提出や退陣を求める声があるが、私は簡単に求めない」
と言い切った。同党の小川淳也・幹事長も、「不信任案提出は簡単に言える状況にはない」として、代わりに石破首相の政治倫理審査会での弁明を求めている。