拡大の一途をたどる大谷翔平ビジネス(写真/EPA=時事)
6年ぶりに日本で開催されたドジャース対カブスのMLB開幕シリーズでは、大いに盛り上がり、ドジャース・大谷翔平(30)による経済効果の大きさを見せつけられた。さらに日米の多くの主体が携わりその恩恵に与った。
大谷、山本由伸(26)、佐々木朗希(23)らドジャースの面々にスポットライトが当たり、第2戦はドジャースがホームのユニフォームだったため誤解されがちだが、実は開幕シリーズは2試合とも「カブス主催」だった。
通常、入場料収入は主催のホームチームの総取りだが、日本開催の開幕シリーズではもう少し複雑だ。桜美林大学教授(スポーツ経営学)で、東大出身の元プロ野球選手である小林至氏が指摘する。
「MLBはメジャー30球団と代理店契約を結んでおり、今回のような国際興行はすべてMLBが統括して収益を得て、その後メジャー30球団に分配します。開幕シリーズはMLBが、ホームであるカブスから2試合の興行権を15億円程度で買い取り、それを興行主である読売新聞に売却。その金額は巨人、阪神とのプレシーズン戦を含めて30億~40億円程度とみられます。さらにMLBからの放映権は電通を通じて日本テレビに売却されて中継が行なわれました」
中継時のテレビCMは大谷のスポンサー企業で埋められ、まさに「大谷ジャック」となった。
定価2万8000円の東京シリーズ限定ユニフォームなど、グッズも飛ぶように売れた。ナイキとともにMLBとサプライヤー契約を結ぶファナティクスはグッズ売り上げが4000万ドル(60億円)になったと公表した。
「MLBの一般的なライセンス料は12%なので、グッズ売り上げのうち7.2億円がMLBと選手会に入ります。放映権料やスポンサー料などを総合すると、MLBの収益は100億円を超えるとみられます」(小林氏)