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キャリア
「すごい壁打ち」対話からアイデアを磨く思考法

「前例はあるのか」「所詮は…」ネガティブなことばかり言う人とあえて対話してみるメリット 自分にない感性、価値観がアイデアを磨き上げてくれる

良い「壁」は行動力で見つけ出す

 私が壁打ちをしてみることを勧めた方の中には、「自分の周りには良い壁打ちの相手がいない」と嘆く方がいらっしゃいます。

 そのような事情もわかりますが、やはり本気で良い壁打ちをしようと思ったら、自分から積極的に「遠い人」「苦手な人」にも声をかけにいく行動力が必要ですし、声をかけやすいように、日頃からの人間関係づくりが欠かせません。いざというときに気軽に声をかけられる関係を普段から築いておかないと、必要になったときから探し始めても難しいのです。

 思い返していただくと、「親しい友達にはなれないかもしれないが壁打ちの相手には向いていそうな人」が何人か思い浮かびませんか?

 私は他の人から私の交友関係を見て、「なんであんな人と付き合ってるの?」と言われることがあります。この場合の「あんな人」とは、物事に対して攻撃的、批判的、否定的な態度を取りがちな人を指します。確かに、こうした人たちは一般的には好まれないかもしれません。

 ただ、彼ら彼女らには、エネルギーがあり、持論もあることが多い。だからこそ、私にはない視点をくれるので、得るものも大きいのです。こうした人たちは、つい否定しがちなのでブレーンストーミング(ブレスト)には不向きかもしれません。

 ただ、新しい発想をもたらしてくれることも多く、壁打ちには向いていることもあるのです。

 仕事は自分の得意なことだけやっていては、なかなか成果を出せません。自分の得意でないこと、苦手なことを補ってくれる人が必要です。そういった人脈は一朝一夕で作れるものではありませんから、自分の仕事の幅を広げるために、普段から心がけておくことが、大人の仕事術なのではないでしょうか。

■第3回記事:《ビジネスのアイデアを磨く対話法「すごい壁打ち」 相手から的確な反応を引き出すための話の始め方「3つのポイント」、異なる意見を引き出すことが肝要》につづく

これまで150社、3000案件、6000人以上の新規事業検討に伴走し支援してきた石川明氏

これまで150社、3000案件、6000人以上の新規事業検討に伴走し支援してきた石川明氏

※石川明著『すごい壁打ち』(サンマーク出版)より一部抜粋・再構成

【プロフィール】
石川明(いしかわ・あきら)/株式会社インキュベータ代表取締役。1988年上智大学文学部社会学科卒業後、リクルートに入社。2000年にリクルートの社員として、総合情報サイト「オールアバウト」社の創業に携わり、事業部長、編集長などを務める。2010年に独立起業。大手企業を中心に、新規事業の創出、新規事業を生み出す社内の仕組みづくりに携わり、これまで150社、3000案件、6000人以上の新規事業検討に伴走し支援してきた。「壁打ち」の相手になって新規事業の起案者の話を聴く回数は年間1000回を超える。著書に『Deep Skill』(ダイヤモンド社)、『はじめての社内起業』(ユーキャン学び出版)、『新規事業ワークブック』(総合法令出版)がある。

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