昨年末、1年3か月ぶりに日経平均が2万円割れし、1日で1000円超の下げ幅という、とんだ“クリスマスプレゼント”に財務省は青ざめた。景気の悪化は、彼らの悲願である“消費増税遂行”が難しくなることにつながる。一方で、安倍晋三首相の心中はどうかというと──。
複数税率やポイント還元といった複雑な仕組みは、物を「買う側」の消費者だけでなく、「売る側」の商店や飲食店、「作る側」のメーカーも混乱させ、不安を呼び起こしている。実は、安倍首相自身も「増税を再々延期したくて仕方がない」と指摘するのは経済ジャーナリストの荻原博子氏だ。
昨年末に刊行された著書『安倍政権は消費税を上げられない』(ベスト新書)は、そうした国民の不安を背景に発売前から予約が相次ぎ、急遽、初版を増刷したという。荻原氏が語る。
「『今回ばかりは増税せざるをえない』という識者が多いですが、安倍政権が過去3回国政選挙に大勝してきたのは消費増税の先送りのお陰です。このサプライズカードで勝ち抜いた甘い記憶を安倍首相が忘れるわけがありません」
とはいえ、政府は増税による税収で幼児教育無償化や高等教育の負担軽減などを決めており、簡単に「やめた」とはいえない事情もある。
では、どういう状況になった時に増税が再々延期される可能性が高いのか。荻原氏は「増税再々延期」の3条件を挙げる。