その後、金融庁から下った一部業務停止命令が明け、家電量販店のノジマや新生銀行と業務提携を結ぶことになったが、株式を保有する創業家の排除がなかなか進まない(スルガ銀行広報室は「創業家一族企業が保有する当社の株式については、鋭意交渉を続けております」と回答)。
七十七銀行、山形銀行、大垣共立銀行など、創業家が君臨する地方銀行は意外に多い。創業家支配ではないが、親子孫の三代が代表を務めてきた世襲色の強い銀行もある。地元の香川県では圧倒的な事業基盤を持つ百十四銀行がそれで、綾田裕次郎・代表取締役頭取は綾田家として3代目だ。
その百十四銀行に大きな問題が起きた。取引先との会食の席での女性行員に対する重大なセクハラ問題が浮上し、昨年秋から経済誌の追及を受けてきた。会食に同席していたのは渡辺智樹前会長だったが、行員が上層部に忖度する企業風土は異常に根強い。
●リポート/山口義正(ジャーナリスト):1967年生まれ。愛知県出身。法政大学法学部卒。日本公社債研究所(現格付投資情報センター)アナリスト、日本経済新聞証券部記者などを経て、現在は経済ジャーナリスト。オリンパスの巨額粉飾事件をスクープし、著書『ザ・粉飾 暗闘オリンパス事件』(講談社+α文庫)にまとめた。
※週刊ポスト2019年6月14日号