創業家出身の会長と外部から招聘したプロ経営者が対立したLIXIL、親子の感情的な対立が続く大塚家具など、創業家が問題を抱える企業は枚挙に暇がない。
東証一部上場の小森コーポレーションは、印刷機械メーカーとして高い技術力を背景に国内外から紙幣の印刷機も受注していることから「新紙幣銘柄」と目されている。その小森に海外ファンド勢が対決姿勢を鮮明にし、6月19日の株主総会では創業家出身の小森善治会長の選任案に反対するとみられているのだ。
ファンド側はすでに水面下で議決権行使助言会社に「小森会長の選任案に反対」の意見を示すよう働きかけている。
財務内容を見る限り、小森は自己資本比率が高く、現預金をたっぷり保有する優良企業だ。しかし近年は業績が冴えないのに、経営資源を研究開発に投じて新規事業に打って出るわけでもなければ、十分に株主に報いるわけでもない。ただ現金を貯め込むばかりの経営姿勢に投資ファンドは業を煮やしているのだ。
そればかりか役員や幹部クラスは縁故者で固められ、次期社長と目されている梶田英治専務も小森会長の娘婿。こうした縁故主義の強さが投資ファンドの目には「経営責任をとっていない」と映る。
市場関係者は「今度の株主総会で会長の続投に多くの支持が集まらなければ、それに乗じて来年には物言う株主たちが入り込んで来たり、さらに強硬な要求を突き付けられる」と、予想をしてみせる。