近年、音楽ストリーミングサービスに押されて、CD販売市場が縮小傾向になるなか、徐々にファンを増やしていると言われているのがカセットテープだ。かつてパソコンやスマホに楽曲データを取り入れて聞くという習慣がまだなかった頃、レンタル店で借りてきたCDを空のカセットテープにダビングしたという時代があったが、現在注目されているのは、“空のカセットテープ”ではない。予めアルバムが収録されている音楽ソフトとしてのカセットテープだ。
実際に、都内の大きなCDショップに行くと、洋楽アルバムの輸入カセットテープが数多く販売されている。また、東京中目黒にある「waltz」というカセットテープ専門店には、若い音楽ファンも多く足を運んでいるという。
「日本国内での音楽カセットテープ生産数は減少し続けていますが、アメリカではここ数年増加傾向にあり、再注目の兆しがあることは確か。1980年代や90年代の名作アルバムが次々とカセットテープとなって販売されていますし、新作をカセットテープで販売するアーティストも増えています。また、アンダーグラウンドなシーンでも、カセットテープでリリースされる作品が多くあります」(音楽ライター)
実際にカセットテープを購入している音楽ファンに話を聞いてみた。40代の男性フリー編集者・Aさんがカセットテープを好んで買うようになったのは、3年ほど前からだという。
「気になっていたアーティストの作品がカセットテープのみでリリースされ、それを買ったことがきっかけです。自分が中学生くらいまではカセットテープで音楽を聴くこともありましたが、最近はまったく触れていなかったので、プレイヤーも持っていない状態でした」