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年金だけで暮らすのを可能にする「60歳からの家計の原則」3つ

【原則1】夫婦の生活費は「5歳ごとに月2万円」減っていく

 政府の老後資金の試算は毎月の生活費が30年間変わらないという前提で計算されているが、実際は、定年後で生活費が一番かかるのは60代で、70代、80代と歳をとるごとに必要な生活費は下がっていく。

 図を見ると、毎月の生活費は「60~64歳世帯」の約30万4600円から、5歳刻みでざっと2万円ずつ減り、「80~84歳世帯」では約20万5400円と60代前半より1か月あたり10万円も少なくて済む。“年金博士”こと社会保険労務士の北村庄吾氏が語る。

「定年後の支出の半分を占めるのが食費、交際費、通信費といわれるが、歳をとるほど外出が減って交際費が減り、通信費もそんなにかからなくなる。それを考えると標準的な夫婦の年金額で生活することはそこまで難しいことではない」

【原則2】最低限必要な「基礎的支出」は生活費の6割

 生活費の中で、暮らしに絶対必要な支出が「基礎的支出」と呼ばれ、食費、家賃(持ち家なら原則ゼロ)、水道・光熱費、交通費、医療費などがこれにあたる。一方、教養娯楽費や衣類、家具などは「選択的支出」と呼ばれ、こちらは節約できる幅が大きい。

 家計調査では、60代の基礎的支出は生活費の約63%で、残り約37%の支出は節約の余地がある。経済ジャーナリストの荻原博子氏がいう。

「基礎的支出の中にも節約できる部分は大きい。家計調査は60代以上の夫婦2人で食費が月6万円程度とされていますが、現実はそんなに使っている人は少ない。現役世代でも4人世帯で食費月4万円程度の家庭はざらにあります」

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