第3のメリットは「金利が高い」こと。みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也さんが話す。
「8月以降、アメリカのトランプ大統領が仕掛けた米中貿易戦争の激化によって、株・金利・為替の市場で世界的な混乱が続いています。資産を安全な場所へ避難させるため、多くの投資家が米国債を買い、大幅な金利低下が進みました。
しかし、それでも日本の国債金利(マイナス0.235%・8月16日時点)と比べれば、米国債の金利は10年満期で1.5%前後、30年満期で2%前後と、比べものにならない高さです」
米国債なら、どれを買ってもいいのか。『証券会社がひた隠す米国債投資法』(KKベストセラーズ)の著者で、かつて米ゴールドマン・サックス証券で債券営業に携わっていた杉山暢達さん(現ゴールドハーツ代表)が説明する。
「米国債には、定期的に利子を受け取れる『利付債』と、満期まで利子が付かない『ゼロクーポン債』があり、私がおすすめしたいのは後者です。
ゼロクーポン債は、運用中の利子がない代わりに、満期までの利子相当分があらかじめ差し引かれ、その分購入時に安く買えます。通常満期までの期間が長いほど購入価格は安くなるため、老後資金とするならできるだけ長期のものを買った方がいい」
60万円が30年後に100万円以上になる?
たとえば、SBI証券で取り扱うゼロクーポン債で最長のものは、2045年償還(25年5か月もの)で利回りは1.952%。満期で1万ドル(約106万円)を受け取るための購入価格は6095ドル(約64.6万円)となっている(8月16日時点)。
第4のメリットは「手間がかからない」こと。ゼロクーポン債は満期時に受け取る金額が決まっているため、相場に気を揉まなくてよい。
「満期に受け取る金額を1万ドルとすれば、満期30年近くのものは60万円ほどで買える。それをたとえば、現在35才の人が年1回、20年間継続して買っておけば、約30年後の65才から85才まで毎年、満期を迎えた金額を受け取ることができ、その間はほったらかしで済みます」(杉山さん)