消費増税に伴い「キャッシュレス・ポイント還元事業」もスタートした。還元上限額は各社で異なるが、「QRコード決済」に注目するのは『お金のミライは僕たちが決める』(星海社新書)著者の我妻弘崇氏だ。同氏が、キャッシュレス決済のメリットと各QRコード決済サービスの提供する「お得なサービス」の違いについて解説する。
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国による今回の還元事業は、消費意欲後退に歯止めをかけるべく、2020年6月30日までに限り、中小・小規模事業者に対してキャッシュレス手段を行った際に、2%または5%のポイントを還元する施策だ。中小・小規模事業者というのは、平たく言えば中小規模の食料品や衣料品などを扱う「小売業」、同規模の飲食業や宿泊業、理容・美容業などの「サービス業」などのこと。これらは基本的に5%のポイント還元となり、コンビニエンスストアをはじめとしたフランチャイズチェーン店舗、ガソリンスタンドは2%還元となる。相殺どころか、5%のポイント還元がある店舗でキャッシュレス決済を行えば、増税分以上に還元されるというわけだ。
では、何がキャッシュレス決済に該当するのか?
クレジットカード、デビットカード、電子マネー(プリペイド)、QRコードなど、一般的な購買に繰り返し利用できる電子的な決済手段が対象となっている。これらの非現金決済を行う際、請求時にポイント還元分が値引きされるか、後日ポイント還元分が付与される。「キャッシュレス・ポイント還元事業」の概要は、以上のような仕組みとなる。
とりわけ注目すべきは、昨今CM等により存在感を増しているQRコード決済だろう。
経済産業省「平成29年特定サービス産業実態調査報告書」によれば、国内のクレジットカードの加盟店数は、629万9710店とされている。クレジットカードが国内に誕生したのは1961年。その3年後(1964年)の東京オリンピックに来日する外国人観光客を見据えた施策の一環とも言われ、その後、約60年にわたって加盟店を増やし続けてきた。
ところが、だ。次の数字は主なスマホ決済の利用可能な利用店舗数である。LINE Pay:90万か所、PayPay:100万か所、Origami Pay:145万か所(2019年末予定)、メルペイ:135万か所、楽天ペイ:約300万か所――。LINE Payのサービスイン(開始日)こそ2014年12月だが、コード決済が浸透し始めたのは、“キャッシュレス元年”と呼ばれる2018年から。クレジットカードの普及率と一概に比べることはできないが、わずか1年余りでこれだけ利用店舗が急増しているのは特筆に値する。間違いなく、QRコード決済はキャッシュレスを牽引する大きな存在となっている。