10月1日、消費税が8%から10%に引き上げられると、至るところで大混乱が生じていた。混乱に拍車をかけたのは、ポイント還元がある「キャッシュレス決済」と、持ち帰りの食品にかかる8%の「軽減税率」だ。
麻生太郎財務相は「日本人の計算能力は高いから軽減税率の混乱はない」と言い切ったが、自分の年金額も知らないほど数字と無縁の暮らしをしている人に言われたくはないし、問題は日本人の計算能力ではなく国の制度設計にある。
まず煩雑なのは決済方法が多岐にわたることだ。ポイント還元を受けるにはクレジットカード、電子マネー、QRコード・バーコードを使ったスマホ決済などでキャッシュレス決済をする必要がある。
「そもそも現金払いに慣れていた中高年世代がカードやスマホを使って決済するのは面倒が多い。初めての人には、スマホの小さな画面で個人情報などを登録して手続きするのだって相当な手間です」(クレジットカードや電子マネーに詳しい消費生活評論家の岩田昭男氏)
スマホ操作などに慣れていなくても簡単に発行・利用できる交通系のICカードにも落とし穴がある。
「JR北海道の『Kitaka』とJR東海の『TOICA』はポイント還元の対象外です。また最も利用者が多いJR東日本の『Suica』でポイント還元を受けるには、駅などで個人情報を登録して記名式のカードを発行し、ネットを通じて『JRE POINT WEB』に登録する必要があります」(岩田氏)