中国の経済成長率が低下している。2019年7-9月期の実質経済成長率は6.0%で4-6月期と比べ0.2ポイント低下、市場コンセンサスを0.1ポイント下回った。データを遡って検証できる1992年以降、過去最低となっている。世界第2位の経済大国である中国の景気減速は、世界経済への大きな下押し圧力となるだけに、大きな懸念材料である。
6.0%といった水準は、経済規模が1兆ドルを超える国の中では最も高い。中国は依然として世界経済の牽引役となっている。しかし、米中貿易戦争が激化する中で、輸出産業に成長を阻害する要因が発生しており、景気見通しは不透明だ。
産業構造をみると、重厚長大産業などの製造業においては、先進国へのキャッチアップが終了している。輸出主導型から内需主導型、イノベーション駆動型へと経済構造は転換しつつあり、同時に、経済のサービス化が進んでいる。設備投資の増えにくい経済構造となっている。
マクロの視点では、2011年以来、15~59歳の労働人口は減り続けている。生産要素の減少はそれだけで大きな成長阻害要因である。
一方で、成長を下支えする要因もある。所得の増加による消費の量的、質的な向上である。
1-9月期の成長率は6.2%だが、第一次産業は2.9%、第二次産業は5.6%、第三次産業は7.0%である。それぞれの金額ウエイトは順に、6.2%、39.8%、54.0%である。第三次産業がどれだけ伸びるかによって、全体の成長率に大きな差が出てきそうだ。
金融サービス自由化で夜間取引も拡大
最近の中国では、夜間消費の拡大が目立っている。サービスのイノベーションが進みつつある。