外出中の急な雨に慌てて帰宅すると、干しておいた洗濯物は全滅……落胆する私をよそに、夫と子供はテレビに夢中。「対岸の火事」とは、まさにこのこと。こうした例は、枚挙にいとまがない。
「『もしもし、おれ。お前さ、電気つけっぱなしで出かけてたから、消しておいてやったよ』。 外出していると、夫が得意げに電話してきた。いつもあなたがつけっぱなしにする電気を誰が消していると思ってるのかしら?」(専業主婦・53才)
「料理」「洗濯」「掃除」などの代表的な家事に分類できない、小さな「名もなき家事」。“毎日の献立を考える”“水切りカゴの食器を食器棚に戻す”“洗濯前に裏返しの靴下を元に戻す”“脱ぎ捨てられたコートをハンガーにかける”── 一つひとつはなんてことない作業かもしれないが、1日に何度も、毎日続くことを考えると気が遠くなる。
『女性セブン』が500人に読者アンケートを実施した結果、約8割が「名もなき家事」を負担に感じているという結果となった。
「何度言っても靴下の裏返しが直らない」(正社員・39才)、「絶対に取り替えたくないのか、トイレットペーパーを残り数cmで残す」(無職・54才)と、不満の声が出るわ出るわ。冒頭の夫からの電話も、読者から寄せられた“実話”だ。「ゴミの分別くらいしてよ」と言えば、「それはママの仕事じゃないの?」と返ってくる。
大和ハウス工業「家事年収シミュレーター」を監修した、家計研究家でファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんが言う。
「日本ではいまだに家事は女性の仕事という考えがあり、『名もなき家事』に追われている女性が多い。料理や洗濯や掃除だけでなく、すべての『名もなき家事』にも価値があります」(氏家さん・以下同)