Bさんが何も特別というわけではなく、ほかにも日本名のチューレンを名付ける親は多い。アニメやイケメン俳優やアイドルの人気が高いようだ。
30代のタイ人男性・Cさんに話を聞くと「ジョジョ」と「ギャバン」と名づけたという。もちろん『ジョジョの奇妙な冒険』『宇宙刑事ギャバン』にちなんだもの。
「子どものころすごく好きだった僕のヒーローたち。ずっと日本に憧れていたので、子どもに名付けました。立派な男になってほしい」
別の30代のタイ人女性・Dさんは、子どものチューレンを「しんご」にした。日本語を学ぶきっかけがSMAPの曲だったといい、大好きなメンバーの名前を子どもにつけたという。
こうした日本名のチューレンに共通するのは、名付けた世代に30代の親が多いということ。日本に留学経験がある前出・Aさんはその背景には2つの要因があるのではないか、と分析する。
「1つは、日本のアニメを見て育った世代であること。タイでは日曜の朝に数年前の日本のアニメを放送していて、子供たちは早起きして見ます。私もその一人でしたが、これにより強烈な日本への憧れやリスペクトを抱いたタイ人は多かったと思います。
2つ目はそうして育った人たちが、2013年からビザなしで日本に渡航できるようになったことです。日本は、アニメを見て憧れの対象でしたが、なかなか行くことができない遠い国でした。渡航費も給与の3か月分という時代もありました。でも、このビザなしでの渡航が認められて、かつLCCの登場もあり、一気に行きやすくなったんです。日本名のチューレンは、私たちのような世代が親になったから増えてきたのだと思います」
もしかしたら今後、思わぬキャラクターやアイドルの名を名乗るタイ人と出会うこともあるかもしれない?