11月30日、通称「相鉄」こと相模鉄道がJRとの相互直通運転を開始し、乗換なしで都心と繋がるようになる。多くの都民にとって、相鉄はあまりなじみのない路線だが、今回の都内乗り入れで何が変わるのか? ライターの金子則男氏が解説する。
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首都圏では近年、複数の鉄道会社によるダイナミックな直通運転が次々と誕生し、埼玉、栃木、群馬から神奈川まで乗換なしで行ける大鉄道網が出来上がりましたが、その流れに取り残されていたのが相鉄でした。相鉄には、横浜と海老名を結ぶ本線と、途中駅の二俣川で分岐して湘南台まで行くいずみ野線の2線がありますが、他社との直通運転はゼロ。走っているのはすべて神奈川県内で、しかも沿線はほぼ住宅地なので、都内在住者にはなじみがないのも仕方がありません。
しかし11月30日、ついに相鉄が都内に乗り入れます。今回の乗り入れは、「相鉄線西谷駅とJR東海道貨物線横浜羽沢駅付近間に連絡線を新設し、この連絡線を利用して相互直通運転を行う」(プロジェクトのHPより)というものですが、「西谷」や「羽沢」などと言われても、地元住民以外は何のことやら分からないはず。「ショートカットして都心方面に向かう線路を作り、乗換なしで都心に行けるプロジェクト」とでも説明すれば、少しは理解して頂けるでしょうか。
沿線住民はこれまで、都内に向かう際は必ずどこかで乗り換える必要がありましたが、今回の直通運転開始により、都内への距離は一気に縮まります。二俣川から新宿への所要時間は最短59分から44分に、湘南台から渋谷は60分から51分に。また、数年後に予定されている東急との乗り入れでは、二俣川から目黒まで現行で54分かかるものが、一気に38分まで縮まる予定です。
今回の乗り入れにより、家賃相場は変わってくるでしょうが、相鉄各駅の家賃相場(ワンルーム・1K・1DK)は、おおよそ5万円台の前半(ライフルホームズ参考。11月21日時点)です。すべての列車が停まる主要駅の二俣川でも、新築一戸建てが3000万円台前半から買え、都心までも1時間程度で通えますから、住まい選びの選択肢として、新たに相鉄が加わることになるでしょう。