日本の株式市場が中国市場の影響を受けるようになって久しい。日本市場は欧米機関投資家の売買に強く影響を受ける市場だが、欧米の機関投資家は日本株を総じて景気敏感株とみている。そして、貿易上、中国との結びつきが強いことから、中国経済や中国株式市場の動きを意識しがちだ。
また、日本の市場関係者も中国本土市場の動向に大きな関心を持っており、その点だけを考えても、本土市場の見通しは重要なものである。
12月は、マスコミ各社から来年の中国市場の見通しを聞かれる。もちろん、株価に影響を与える確かな要因があり、その予想を組み合わせて、最終的な株価の予想を行うのだが、株価の動き自体は、かなりランダムウォークに近く、少しだけ過去のデータの影響も受けるといったカオス理論に従うと考えており、ちょっとした前提の違いで将来の値が大きく変わってしまういわゆるバタフライ効果が現れる。だから、株価の予想は難しい。
加えて、証券会社に勤務していた時代に原稿を書いていた時の癖が未だに抜けにくい。
証券会社は、株価上昇時に利益が上がる構造となっている。株価上昇期には外部から資金が流入し、かつ、売買の回転が上がる。出来高、売買代金の増加は、手数料収入の増加に直結する。逆に下落期は市場から資金が流出し、売買の回転も下がる。出来高、売買代金が減少するので収入も減る。
書く側からすれば、悲観的な予想をした上で、実際の結果が逆であった場合の営業部門から受けるプレッシャーは大きい。悲観的な予想が当たったところで、営業部門、顧客からの評価は、楽観的な予想が当たった時と比べれば小さい。ストラテジスト、アナリストたちへの評価基準の非対称性が“強気予想”に傾くといった結果を生みやすくしている。
もう一点、これはセルサイドの予想に限らず、年始によく新聞に掲載される経営者による予想にも言えることだが、陥り易い落とし穴がある。将来のことは分からない。先のことほど不確実性が高まる。わからないのなら強気の予想をしておいた方が自分にとっては有利である。だから、年末にかけて上がるといった予想が多くなる(ただし、2020年の日本株の見通しは前半強く、後半弱いといった予想が多いようだが)。
ニーズがある以上、予想から逃げるわけにはいかない。こうした誤り易い点にできる限り注意を払い、2020年における上海総合指数の見通しを行った(12月23日の終値は2962.75ポイント)。その内容は以下の通り。