「ものがもったいないからというより、思い出のものを捨ててしまうと、自分が生きてきた証を失ってしまうようで、それが恐怖だったのかもしれません。その点を理解してあげるのが大事だと思います。そう心がけて取捨選択してあげるとよいと思います」(Aさん)
捨てようとしない親に対して取ったひとつの作戦
40代の男性会社員・Bさんは、60代の親は昔から「いつか使うから」という言葉で、余分に取っておく習慣があったが、それが災いし、最近、実家の不用品が目立つようになったと明かす。
「物置には古本屋でも値打ちがつかなそうな古本や図鑑が山積み、台所には洗ってきれいにしたジャムやお菓子などの空き瓶がいっぱい。服はお気に入りの2~3着をローテーションで着るだけのくせに、たんすには各シーズンごとに30着以上。動かなくなったラジカセ5台に使用済みテレフォンカード1000枚以上など、謎のものまでいっぱい。『いつか使うから』と捨てようとせず、困っていました」
捨てようとしない親にBさんは、片づけ本を見せるなどして説得に試みるも失敗。そこで“ある作戦”を敢行した。
「明らかに使えないものに、『自分に使わせてほしい』と言って、一度自分が引き取った後に捨てるという感じで、徐々に不用品を減らしています。今後は親の許可を得たうえで、使えるものはメルカリへの出品にも挑戦してみようと思います」(Bさん)
30代の男性会社員・Cさんは、5年前まで実家暮らしをしていたが、今年帰省した時、実家にある自分の部屋が“そのまますぎる”点に、違和感を抱いたと話す。
「実家にいた時は気づかなかったのですが、子ども部屋がそのまますぎて怖くなりました。押入れにはランドセル、制服、ギター、ミニ四駆、卒アル、ゲーム機等々。60代の親は、『いつ帰ってきてもいいように、取って置いてある』と言っていますが、さすがにランドセルや制服は(苦笑)」(Cさん)
子ども部屋がそのままというのは、帰省時の“あるある”だが、Cさんは実家を「物置代わり」にしていたと反省している。
「今一人暮らしをしている部屋が狭いので、実家に荷物を置きっぱなしにしていましたが、まるで物置みたいに扱っていたなと思います。これでは将来的に実家の片づけに対して、強く言えない。すでに親が片づけることに億劫になっているようなので、このままではヤバイ。まずは、実家の自分の部屋を片づけたいと思います」(Cさん)
誰しもが直面し得る、実家の片づけ問題。親が言うことを聞かないと“子ども視点”でことを進めるのではなく、歩み寄る姿勢が何より重要なようだ。