未払い残業代などの請求はひとりで行うことも可能だが、社長や社員から嫌がらせをされたり、会社が専門家を雇って丸め込んでくることもある。いざという時は、弁護士に頼ってもいいだろう。労働法に詳しい渋谷共同法律事務所の萩尾健太弁護士が語る。
「まずは『内容証明』という文書を送り、会社に未払い分の支払いを要求します。支払いに応じなければ、多くの場合『労働審判』と呼ばれる手続きを申し立てます。2006年から始まった新しい裁判所の手続きで、労働者側、会社側の専門の委員が双方の主張を見て、紛争解決をあっせんします。早ければ2か月、長引いても半年程度で解決します。それでも折り合わない場合は、通常訴訟に移行することになります」
気になるのが弁護士費用。目安として、100万円の未払い給料を請求する場合、初期費用で着手金約10万円と実費、成功報酬として回収した金額の16%を支払うことになる。この費用を抑えるためにも、“一緒に請求する仲間”を増やすといい。
「被害者が何人だろうと、内容が同じであれば弁護士にとっては1つの事件として扱いますから、同じ職場の人が何人か集まって訴訟すれば1人あたりが負担する費用は比較的安くなります。さらに複数人の労働者が証言すれば、裁判所もその内容を信用しやすくなるため、訴訟を有利に進めることが期待できます」(萩尾さん)
信頼できる同僚は、普段の仕事においても、いざという時にも頼もしい味方だ。
※女性セブン2020年2月6日号